SPECIAL
さよならの言い方なんて知らない。
河野裕/著
越島はぐ/イラスト
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物語
物語は始まる。八月の青い、青い、空の下で。あなたは架見崎の住民になる権利を得ました――。高校二年生の香屋歩の元に届いた奇妙な手紙。そこには初めて聞く街の名前が書かれていた。内容を訝しむ香屋だが、封筒には二年前に親友が最後に残したものと同じマークが。トーマが生きている? 手がかりを求め、指定されたマンションを訪れると......。戦争。領土。能力者。死と涙と隣り合わせの青春を描く「架見崎」シリーズ、開幕。
そして、戦争が始まる。八月を繰り返す、この街で。架見崎。誰も知らない街。高校二年生の香屋歩と幼馴染の秋穂栞が訪れたその場所には、戦争があった。人と人が対立し、殺し合い、奪い合う。そんな世界で、二人はかつての親友トーマと再会する。架見崎で二年余りを過ごした彼女は、最大の領土を誇るチームの「伝説」となっていた......。食い違う現実。開かれる戦端。謎の核心「ゼロ番目のイドラ」。死と涙と隣り合わせの青春劇、第2弾。
孤独で、孤高。それが架見崎の、最強。男は毎日、同じ行動を繰り返す。起床し、新聞を読み、改札で電車を待つ。月生亘輝。架見崎で最強と称される人物。そんな月生に対し、遂に二大勢力が行動を起こす。チーム内で派閥抗争が続く「PORT」。実質的指導者の交代で揺れる「平穏な国」。それぞれの思惑が交錯する共同戦線で、香屋歩は何に怯え、何を考え、どのような真実を見出すのか。死と涙と隣り合わせの青春劇、第3弾。
臆病者の少年は英雄への道を歩み始める。香屋歩は臆病者を自認する。知らない人に話しかけられるどころか、すれ違うのすら怖い。そんな彼が殺し合いを是とする架見崎に招かれたとき、どんな行動をとるか。逃げるのか。隠れるのか。泣き叫ぶのか。否。少年は立ち上がる。彼はいつだって、恐怖の前提と対峙する。PORTを脱退した王者ユーリイ。トーマの計画。混戦の果てに浮かび上がる世界の秘密とは。激動の青春劇、第4弾。
彼女だけが知っていた悲しき世界の真実。冬間美咲。あるいは、ウォーター。架見崎という街から生まれた、最も新しい伝説。香屋歩を英雄と呼ぶ、美しい少女。だが、彼女は現実世界で死んだはずだった。ありえない再会は、なぜ叶ったのか。能力が生んだ奇跡? まさか。世界はもっと、泣きたくなるほどに残酷だ。「君を作ったのは私だ」――いま、常識は崩れ、たった一つの真実が明かされる。慟哭と戦慄の青春劇、第5弾。
裏切り。共闘。騙し合い。戦争(ゲーム)の果て......勝者は?架見崎に現れた新たな絶対者。ウロボロス。「彼」の登場は、戦う意味をすべて変えてしまった。勝者に与えられる報酬「欲しいものをなんでも1つ」を本気で手に入れるため、香屋歩はエデンの実質的リーダー、ユーリイとの共闘を決意する。一方、新たなチームを立ち上げた冬間美咲は、三国が戦争状態に陥る中で、ある目的のために暗躍していた......。裏切りと奇跡の青春劇、第6弾。
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登場人物
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香屋歩Kaya Ayumu
高校2年生。臆病者を自認しており、何をするにも恐怖心が先立つ。「架見崎」においては、他のどれよりも例外的な能力「キュー・アンド・エー」を獲得している。
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秋穂栞Akiho Shiori
高校2年生。年齢より幼い外見をしているが、性格は大人びており、何事にも冷静に対処する。香屋、トーマとともにアニメ「ウォーター&ビスケットの冒険」のファン。
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トーマ(ウォーター)Toma
香屋と秋穂の幼馴染。中学2年生のとき、謎の言葉を残して消えるが、「架見崎」で二人に再会する。絶大なカリスマ性で人を惹きつける。
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キドKido
「キネマ倶楽部」リーダー。独特な戦い方から「天才」「ジャグラー」の異名を持つ。
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白猫Shironeko
「ミケ帝国」リーダー。黒猫、コゲと三人で同チームを治めている。
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リリィLily
「架見崎」第2位のポイントを持つ「平穏な国」リーダー。聖女と呼ばれている。
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高路木Korogi
「平穏な国」ナンバー2。能力「握手の拒絶」を持つ。
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ユーリィYuri
「架見崎」最大の勢力「PORT」リーダー。チーム内の第二派閥を率いるホミニニと権力闘争を繰り広げている。
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イドIdo
「PORT」所属の検索士。ユーリィの側近。
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月生亘輝Gessyo Koki
たった一人のチーム「架見崎駅南改札前」所属。単独で70万を超えるポイントを持つ「架見崎」最強のプレーヤー。
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著者紹介
河野裕コウノ・ユタカ1984(昭和59)年、徳島県生れ。兵庫県在住。2009(平成21)年、『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』でデビュー。2015年、『いなくなれ、群青』で大学読書人大賞を受賞。同作から始まる「階段島」シリーズは2019(令和元)年『きみの世界に、青が鳴る』で完結した。著書に『君の名前の横顔』『昨日星を探した言い訳』、「架見崎」シリーズとして『さよならの言い方なんて知らない。』などがある。