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2015年11月アーカイブ
僕は高校時代、演劇部に所属していました。
脚本を書きたいという思いと、舞台の上で自分と違う人間になって立ち回ることに興味があったからです。でも、入ってから気づいたことは、演劇とはけしてキャストだけでは成立しないということでした。音響・照明・大道具・小道具・衣装・メイク......舞台を作り上げようというスタッフがいてこその演劇なのです。
演劇部の青春モノと聞けば、演じる側にスポットを当てて描くのが常でしょう。当然です。スポットはキャストに当てるもの。スタッフに当てるスポットなどありえないのですから。
でも、スタッフのほうを中心に描く小説があってもいいのではないか。そんな思いに突き動かされて構想を練ったのがこの話です。さらに、演劇部といえばキャストは女子、スタッフは男子などという先入観がなんとなくある気がしたので、これを逆転させてみました。
駒川台高校演劇部は、キャストが全員男子、スタッフは全員女子という部活なのです。はたしてどんなドラマが生まれるのか。本当の意味での「舞台裏」を描いた、珍しい作品です。どうぞ、楽しんでください。

キャラクター紹介
【美咲】
高2。この物語の主人公。ごくごく普通の女の子。ナナコのおかげで"変人・奇人"耐性が強い。父親の借金返済のためにバイトに明け暮れるなど、家族想いのまじめな性格。演劇初心者ながら、ナナコに代わって舞台監督役に取り組み、徐々に演劇の魅力にハマっていく。
【ナナコ】
高2。破天荒で型破りすぎる性格。"白血病的な"原因不明の病気の治療で入院することに。好物はキビナゴ。
【トミー】
高2。ガチンコ理系女子。趣味は機械いじり。誰にでも「です」「ます」調で話す。趣味は効果音収集、加工。
【りかぽん】
高1。背が低く、ツインテールが似合うロリ系女子。実家が工務店で、父の職人技を見て育ち、大工仕事が得意。ピンクジャージがトレードマーク。
【ジュリア】
高1。大人っぽく、整った容姿の持ち主。少し物言いがキツイのが珠に瑕。意外な経歴の持ち主で、特技は美術。
【早乙女先輩】
高3。演劇に全力を注ぐ奇人。独特のユーモアセンスがあり、オリジナル脚本を生み出す天才。(作中で「走るなメロス」と「白柚子姫と六人の忍者」のあらすじが読めます♪)
【西野先輩】
高3。演技力もある、駒川台高校で五指に入るイケメン(美咲評)。落ち着きもあり、キャスト男子の要の存在。