YOMIMONO 読み物 小説、エッセイ、著者インタビュー、等々。新潮文庫nexが贈る特別コンテンツ。

新人として出版の機会を与えて頂けたこと、とても光栄に思っています。と同時に、驚愕によって膝がガクガクと振るえ、未だに真っ直ぐ歩けない日々を送っておりまして、これに更に発刊に向けて「皆様に楽しんで頂けるか」という不安が加わるのかと思うと、今から新しい境地を予感して楽しみで仕方ありません。まったく、人間とは可能性の塊で、私は人間のそういったところを愛して止みません。
実のところ、私自身は私自身の小説というものの面白味に確信があるわけではないのです。しかしながら世の中というのは往々にぼんやりとしたものなのかもしれませんし、ましてや人間ならば自分に確信のある人などきっと一握りでしょう。そういった意味では、何かをするということは全て等しく、確信を得るための未知への「挑戦」と捉えることが出来るのかもしれません。皆確信を持つために日々挑戦しながら生きている。私もこの一冊から小説家としての挑戦を始めていきたい所存ですので、どうぞ宜しくお願い致します。願わくば私の小説が、一つ二つでも皆様が自分の中に確信を持つ手助けとなることを祈っております。
神西亜樹Jinzai Aki
1990(平成2)年、東京生れ。2014年、「小説家になろう」サイト上に投稿された「坂東蛍子、子供に脛を蹴られる」で「新潮nex大賞」大賞を受賞。本書がデビュー作となる。